2014/03/18

足りないもの

平和を愛する人は、想像力が足りない。 争いを愛する人は、知性が足りない。 差別を嫌う人は経験が足りない。 差別を好む人は自信が足りない。

2009/11/03

錆付いたトタンの屋根は昨日から続く
嵐で悲鳴をあげている。
もうどうしようもない。

そうだ。ハイネケンを飲もう、昼から、うまいピザといっしょに。

2009/05/22

僕はできるだけ天才達に見られないように日陰を選んで歩いた。
それは僕の過剰な自意識の表れに過ぎないことを知っていたけれど、
ただそうせずにはいられなかった。

2009/05/11

僕は絶対に正しい事を言う人間が嫌いだ。
さらにそれをふりかざして説教するやつの気が知れない。
ドクターペッパーはうまいよ

2009/05/08

異国の話

 僕は地下鉄に乗っていた。頭上の蛍光灯はもうほとんど切れかけていて時折思い出したように虫が飛ぶような音をたてながら点滅していた。足元には何かをこぼしたような跡があって、人が通るたびに靴底を床から引き剥がす音がした。僕のすぐ隣では、ビジネスマンが携帯電話越しに怒鳴るような中国語で何かをまくしたてている。上海の地下鉄はものすごくうるさい。中国人はなぜか大声で話すし、電車の中でも携帯電話を平気で使う。この国にマナーという言葉なんて無いのだ。
 僕は一緒に乗っていた中国人の友達に聞こえるように少し大きな声でどのくらいで駅に着くのかを聞いた。彼は10分ぐらいだよと言ってから、日本にもこんな地下鉄があるのかと僕に聞いた。 僕が東京なら歩いていけるような間隔で駅が何個もあるんだぜ、信じられないだろ、と言うと素直に驚いたような顔をした。
 僕らが話していると、みすぼらしい身なりをした男がこちらをじっと見ているのに気がついた。そういえば英語で会話をしているのは僕らしかいない。僕はその男の顔を見返した。自分が恵まれていないことをわかっている目だ。上海に来て半年、僕は時々こんな目で見られることがあった。それも僕が日本人だというたったそれだけの理由で。僕は少しいやな気持ちになって、その男から目をそらせた。

「なあシュン、東京にはno2, roadってのがあるんだろ」
中国人の友達はなぜかうれしそうに僕にそう聞いた。僕ははじめno2,roadが何かわからなかったが、すぐに新宿二丁目の事だと理解した。こいつはゲイなのだ。しかし、彼ほど自分がゲイである事を隠さないやつは珍しい。
「ああ、あるよ。何で知ってるの?」
「この前さ、雑誌で見たんだよ。そこに書いてあったんだけどそこってゲイのやつがたくさんいるんだろ?」
「うん、ゲイの人が集まる所で有名だよ」
「てことはさ、日本ってゲイの人多いの?」
「いや、そんなでもないんじゃないかな。でも日本でカミングアウトするのってやっぱりまだ難しいから、どのくらいいるのかわからないけど」
そう言うと、彼は明らかに落胆したようだった。
「俺さ、日本人の男の子が好きなんだよ。なあ、シュンの友達でいない?中国人の男が好きなやつ。いたら紹介してくれよ。俺もシュンにすっごいかわいい女の子紹介するからさ。」
彼は返事を期待するように僕を見た。
「悪いけどいないなぁ。レズビアンの友達ならいるんだけど」
「そうか、、、期待したんだけどなぁ」
「でもさ、日本に帰ったら友達に聞いて見るよそういうやつがいないかって、もし見つかったら紹介するよ。それでいい?」
すると、彼はすごく嬉しそうな顔をした。こいつほど素直な中国人はいない。僕はこいつのことが好きだ。もちろん友達としてだけれど。

もうすぐ電車が到着しそうになった時、、40歳ぐらいの女が、ひときわ大きな声で同じ中国語を繰り返しながらこちらへ向かって歩いてくるのが見えた。何事かと思って友達のほうへ目を向けると、彼はbeggarだよと言って顔をしかめた。中国で乞食に遭遇する事はは珍しくない。実際、僕も道を歩いているだけで物をねだられた事が何度もあった。ただ、電車の中で見たのは初めてだ。
「でもこんなところで乞食をやっても運賃の無駄じゃない?」
「あいつらは駅に住んでるんだよ。だからなんどもタダで往復しながらあれをやってるってわけ」
彼もあまり快く思ってはいないようだ。珍しく不機嫌そうな口調だった。

 よく見ると、さっきは乗客にまぎれて気づかなかったが、女は5歳ぐらいの男の子を連れている。どうやら親子で物乞いをしているらしい。男の子の顔を見ると、目が両方とも無い。病気か事故で失ったのだろう、眼球があるはずの場所はぽっかりと空洞になっていた。両手でしっかりとお椀を胸の前に持って、こちらへ歩いてくる。中国語を繰り返している女―――多分母親だと思うが―――は男の子の肩に手を置いて、目が見えない彼のために歩く手助けをしている。先ほどから繰り返しているのは、目の見えないこの子のために恵んでください、と言っているに違いない。中国語がほとんどできない僕でもそのぐらいは理解できた。お椀にお金を入れようとする人はほとんどいなかった。彼らが通ると、その周りは話すのをやめて静かになったが、ただ興味本位にじろじろと見るだけで近づこうとする人すらいない。
 やがてその親子は僕らのすぐ横まで来た。二人が僕らの側を通る間、僕は穴の開いた両目をじっと見ていた。さっき僕らのほうを見ていた男がボロボロの上着のポケットから一元硬貨をつまみ出すとお椀に入れるのが見えた。硬貨はしばらくお椀の中でカラカラと音を立てたが、その音もすぐに消えた。僕はその音を聞いて、この国がちゃんと不平等である事にとてつもない安心を感じたのだった。

2009/05/06

アイツはドイツ語が話せる。

アイツは友達を大切にする。

アイツはドラッグはやらない。

アイツは夢と希望を持っている。

アイツは黒ビールが大のお気に入りだ。

アイツはちょっとだけおっちょこちょいだ。

アイツはどこかのアイドルグループみたいに愛を語ったりしない。


僕はアイツの事が好きだ。