2009/04/24

陽炎と汽車

12歳ぐらいの時の事だ。

ある夏のある日、僕らはどこまでも続く、線路の上を歩いていた。
ちょうどスタンドバイミーみたいに。
リバーフェニックスみたいにはかっこよくはできないけれど、なんだか、自分たちが
映画の主役みたいになった気がした。ときおり、後ろを見て汽車が来ないことを確かめながら
僕らは前に進んだ。まあどうせ汽車なんて来やしないのだ。だって、この線路はもう使われて
いないのだから。それでも僕らは、もし今、汽車が来たらどんなに素敵だろうと思っていた。
もし汽車が来たなら、僕らはこの日を一生忘れないに違いない。スタンドバイミーを見るたびに今日のことを思い出すだろう。

でも結局、汽車なんて来なかった。
それでも僕らは、夏の太陽の下で汗をぬぐいながら、陽炎の向こうに大きな夢を描いていた。